事例の概要
建築用機器のレンタル業を営んでいるT社は、設備投資計画が一段落し安定した取引先が確保できたことで、来期より売上増加が見込めています。社長(父)Gは、事業承継のタイミングとして、株価が上がる前に、息子たちに持ち株を贈与しようと考えており、ほぼ自社株対策は終了しました。また母Hと長女Kには所有賃貸マンションを渡したいと思っています。できれば社長(父)Gの相続時にはその後の母Hの生活費の安定確保に、母Hの相続時には長女Kへ移転するような設定を、生前に指定できればいいなと思っています。
解決のポイント
- 賃貸マンションを信託財産として、社長(父)Gが委託者、T社が受託者とする民事信託を設定します。
- 信託財産(賃貸マンション)を①収益受益権と②元本受益権に分け、社長(父)Gの相続時に①を母Hに、②を長女Kに与えます。そして母Hの相続時には、①を長女Kに移転するように設計します。
- 受託者をT社とし、自社の不動産管理部門にて信託財産の管理運用を行います。
収益受益権と元本受益権
収益受益権
信託終了時に受託者から残余財産の返還を受ける権利。財産の評価方法としては、受益権を二つに分けたとしても、その評価額の合計は信託財産全体の評価額と変わりません。
元本受益権
受益者が受託者から信託財産の収益を受ける権利。財産の評価方法としては、受益権を二つに分けたとしても、その評価額の合計は信託財産全体の評価額と変わりません。